ストーリー

ガイの苦難

 

第二次暗影の戦いが千年近く過ぎた後、人類は平和な日々を過ごし、暗影の脅威が徐々に忘れ去ろうとしていた。
そんな中、暗影を崇拝していた暗影教が再燃し、“フイシユウ”という名前の司祭の計略によって、暗影教は多くの獣を支配し、町や村を襲い続け、それをガイのせいに転嫁していた。
恐慌が蔓延する中、ガイは獣と交流するようになってゆき、時には獣の形態を成す者もいたため、民衆はガイと暗影は関係があると思うようになってゆく。ガイの金色に輝く眼はその身分を表す印となった。民衆はガイのことを“黄眼”と呼び、差別するようになっていった。彼等は身分が露になったガイに暴力を振るうようになり、酷い場合は捕まえて焼き殺したりもする残酷な事をしていた。自分を守るため、一部のガイはジィア教教会に匿ってもらうように助けを求めた。また一部のガイは山に隠れるようになった。しかし大部分のガイは自分の身分を隠すようになっていった。
ドゥーコ区を中心とする西部地域は、ガイに対する憎しみが特に深く、西から東は雰囲気が徐々に良くなるが、イレン河の入り口にあるイレンオンでは普通の民衆のガイに対する態度は比較的に寛容であった。南部の地域にはジィア区があるため、ガイは比較的に保護され、大きな迫害を受けることは少なかった。

新紀元988年
ロックはドゥーコ区の防衛隊長で、ガイに対しては偏見を持っておらず、ある暗影教が計画した襲撃事件で、彼の妻が巻き込まれ、不幸にも命を落としてしまう。暗影教はこの事件の罪をガイに擦り付けた。怒り狂ったロックは監獄に押し入り、捕まっていたガイを殺してしまう。それ以降、彼は再び笑う事はなかった、冷酷になった彼のことを“冷顔”と呼ぶようになった。
その後ロックはドゥーコ区の防衛軍から離れ、“聖光の剣”という組織を立ち上げた、暗影と関係する全ての人類を根絶やしにすると宣言した。その時のロックは、全てのガイを根絶やしにするつもりだった。
暗影とガイに対する恐怖から、ドゥーコ区の富裕層は大金を気前よく出金し、ロックに投資した。“聖光の剣”もそんな彼等の周りの農場を守り、何度も暗影獣による襲撃を止めた。多くの若者が我こそはと加入していき、“聖光の剣”の勢いが上っていった。彼等の兵士は白い鎧を身に着けるため、“白袍軍”と呼ばれるようになる。彼等の訓練の質は高く、その行動は冷酷で残忍であった、有無を言わさず、一般市民の家宅を捜査し、ガイを逮捕していった。白袍軍に無理やり捜査された一般市民は、白袍軍に多くの恨みを抱いていくが、誰1人としてその怒りを言葉にする者はいなかった。

新紀元992年
イレン河中流にリーグという町がある、町長オックスの施政がよく、多くの人に深く愛されていた。しかし彼は一度も結婚したことがなく、全ての時間と勢力を町の事務に費やしていた。彼は町にあるジィア教の孤児院に大量の資金を提供し、さらに時間を作っては子供達の悩みを聞いたり、一緒に遊んでいたりした。
とある日キャンプをしていた時に、彼と子供は暗影獣の襲撃に遭遇してしまう。人手に限りがあるため、ボディガードは1人また1人と倒れていった、このままでは子供達が暗影獣によって殺されてしまうそんな中、オックスはエネルギーをコントロールして、狼の形態に変身して、町の兵士が車で子供達を運ぶ中、全力で守りぬいたのだった。その甲斐もあり子供達は皆無事だったが、オックスは自身がガイだという身分を明かしてしまった。
オックスは一時町長の職務を辞任した。その理由として、一つは傷を癒すため、もう一つは世論から逃れる為…。町では様々な意見が飛び合い、大部分の市民はオックスの町への貢献を考え戻る事を訴え、オックスがガイということを受け入れたつもりだったが、一部の人はこれを機に、民衆のガイへの恐怖を利用して、オックスを処罰しようとしていた。
この話はドゥーコ区まで伝わり、“冷顔”ロックは自ら白袍軍を率いて、リーグへ赴きオックスを捕えようとした。しかし住民はオックスを突き出したくない一心で、白袍軍と激しい衝突を起こしてしまう。オックスは住民が苦しんでいる所を見たくないため、自ら白袍軍へ出頭してしまう。ロックは、オックスを十字架に縛りつけ、火あぶりの刑を命じた。
この物語は広く伝わり、“リーグの火”と呼ばれ、しかも二種類の形式に分かれていった。一つはオックスの貢献を称えるもので、皆にガイに対して寛容な心を持たせるために。しかしもう一つはオックスを陰謀家として、白袍軍によって処刑された暗影の魔物として描いていた。

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